ぱいおつ日記

ぱいおつは終わりました。

素数が無数に存在することの証明

こんにちは,ぱいです.

無事に院試に合格して,学部最後の夏休みを満喫しています.

 

 

このあいだ素数が無数に存在することの証明を思いついたので書きます.

(あとから人に指摘されて,結局よく知られたものだと分かりアレだったけど)

 

 

リーマンのゼータ関数 $\displaystyle\zeta(s)=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{1^{s}}+\frac{1}{2^{s}}+\frac{1}{3^{s}}+\cdots$ は変形すると素数を用いて次のように表せます.

\begin{eqnarray}\displaystyle\zeta(s)&=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n^{s}}\\&=&\sum_{e_{1},\ e_{2},\cdots\geq0}\ \prod_{p_{i}:prime}\frac{1}{p_{i}^{e_{i}s}}\\&=&\prod_{p_{i}:prime}\ \sum_{e_{i}=0}^{\infty}\frac{1}{p_{i}^{e_{i}s}}\\&=&\prod_{p_{i}:prime}\frac{1}{1-p_{i}^{-s}}\end{eqnarray}

(こういう表示をオイラー積表示といいます)

 

よって,もし素数が有限個しか存在しないと仮定したら\begin{eqnarray}\displaystyle\zeta(2)=\prod_{p_{i}:prime}\frac{1}{1-p_{i}^{-2}}\end{eqnarray}は有理数になります.

ところが,$\zeta(2)$ の値を求めるとこのあいだの記事でも書いたように \begin{eqnarray}\displaystyle\zeta(2)=\frac{\pi^{2}}{6}\end{eqnarray}で,これは無理数であることが知られています.

これは矛盾しているので,素数は無数に存在するということになります.

 

 

フォロワーに教えてもらったのですが,$\displaystyle\zeta(1)=\frac{1}{1}+\frac{1}{2}+\frac{1}{3}+\cdots$ が発散することを使うほうがもっと簡単でした()

 

おしまい.

 

代数学の基本定理の(シローの定理やガロア理論を用いた)代数的証明

こんにちは,ぱいです.

院試がとりあえず一段落ついて,ほっとしてます.

まだ合否発表待ちなのでドキドキしていますが.

 

このあいだ本屋さんをウロウロしていたら「代数学の基本定理」というタイトルの本を見つけました.

代数学の基本定理とは

複素数係数の多項式は必ず複素数の根をもつ

という定理です.

たとえば複素数係数の2次多項式 $ax^{2}+bx+c$ の場合は,これは $\mathbb{C}$ において根 $\displaystyle\frac{b\pm\sqrt{b^{2}-4ac}}{2a}$ を持ちますよね.

代数学の基本定理は,このような複素数係数の多項式は2次以外の場合でも(具体的な根が求められるかどうかは別として)複素数の範囲で根を持つという主張です.

その完全な証明は18世紀にガウスが初めて与えたといわれています.

この本はその代数学の基本定理のいろいろな観点からの異なる証明がひたすら書いてあり,面白そうだったのでつい衝動買いしてしまいました.

でも,買っただけで満足してしまったというわけではないのですが,ゼミやら院試やらで忙しくてなかなか読むひまがなくてずっと本棚に眠らせてしまっていました(あるあるですよね).

ゼミや院試に区切りがついたので最近やっとパラパラと目を通しているのですが,やっぱり面白いです.

数えてみると,微積や位相とかを駆使して,11種類もの異なる証明が載っていました.

しかもその証明に使われる分野の基礎事項のちょっとした解説とかも載っていて,これはもしかすると院試前に読んでいれば良い試験勉強になったのかもしれないなと思いました.

まあもう終わったことなので,そんなこと考えても仕方ありませんが(笑)

 

さて,せっかくなので,この本のなかで僕が特に面白いと感じた証明をこのブログにまとめておきます.

 

 

その前にまずは,代数学の基本定理よりも弱い,

奇数次数の実数係数多項式は必ず実数の根をもつ

という命題を考えてみましょう.

$f(x)$ を奇数次数の実数係数多項式とすると,$f(x)$ の最高次の係数は正としてよくて,$\displaystyle\lim_{x\to\infty}f(x)=\infty,\ \lim_{x\to-\infty}f(x)=-\infty$ なので中間値の定理から $f(x)$ は実根をもちます.

 

これは中間値の定理,つまり実数の連続性から示されていて,その流れで代数学の基本定理微積や位相を使って証明することができます.

僕は今までそういうのを使った証明しか知りませんでした.

それで,代数学の基本定理なんていう名前なのに証明に代数を全然使わないのがなんだかムズムズするな~~~と思っていました.

そこで代数を使った証明に出会って感動したので,その証明を紹介します.

 

その証明の中で群論や体論を使うので,それらについて軽く復習しておきます.

 

 

まずは群論の必要な部分を抜粋しておさらいします.

 

集合 $G$ に結合法則をみたす2項演算が入っていて単位元や各元の逆元が存在するとき,$G$ は群であるといいます.

$G$ の演算が交換法則もみたすときは $G$ をアーベル群といいます.

群 $G$ の部分集合 $H$ が $G$ と同じ演算で群になるとき,$H$ は $G$ の部分群であるといいます.

群 $G$ の元の個数を $G$ の位数と呼び,$|G|$ で表します.

 

素数 $p$ と正の整数 $n$ で $|G|=p^{n}$ のとき,$G$ を$p$群と呼びます.

$|G|=p^{n}$ のとき $G$ は位数 $p^{n-1}$ の部分群をもつことが知られています.

これは,$G$ の中心による剰余群とかを考えて数学的帰納法で示すことができます.

 

$|G|=p^{n}a$ ($p$:素数,$p$ と $a$ は互いに素) のとき,位数 $p^{n}$ の部分群を$p$シロー部分群と呼びます.

$|G|=p^{n}a$ のとき $G$ は必ず$p$ シロー部分群をもち,その個数は $p$ で割ると $1$ あまりかつ $a$ の約数であることが知られています.

また,$G$ の$p$部分群はある$p$シロー部分群の部分群となります.

これらの結果はシローの定理と呼ばれています.(冗長になるので証明は略.)

 

 

次は体論をザッとおさらいしましょう.

 

集合 $K$ が加法,乗法と呼ばれる2種類の演算をもち, 加法について $K$ はアーベル群とし,単位元を $0$ とします.$K\setminus\{0\}$ が乗法で群となり,分配法則も成り立つとき,$K$ を体といいます.

 

$L$ が体でその部分集合 $K$ が同じ演算で体となるとき, $K$ は $L$ の部分体であるといいます.またこのとき $L$ は $K$ の拡大体であるといい,このことを $L/K$ が体の拡大であるといいます.

$L/K$ が体の拡大で $K\subset M\subset L$ で $M $も同じ演算で体のとき,$M $ は $L/K$ の中間体であるといいます.

$L/K$ が体の拡大のとき $L$ の$K$線形空間としての次元を拡大の次数と呼び $[L:K]$ と書き,$[L:K]=d<\infty$ のとき $L/K$ は $d$ 次拡大であるといいます.

$M $ が $L/K$ の中間体のとき,拡大次数が有限なら\begin{eqnarray}[L:K]=[L:M][M:K]\end{eqnarray}が成り立ちます.

 

$L/K$ が体の拡大で,任意の $x\in L$ がある $K$ 上多項式の根となるとき,$L/K$ は代数拡大であるといいます. 

$L/K$ が代数拡大で $\alpha\in L$ のとき,$K$ 上1変数有理式に $\alpha$ を代入したものの全体を $K(\alpha)$ と記すと $K(\alpha)$ は $K$ の拡大体であり,$K(\alpha)/K$ を単純拡大といいます.

また,単純拡大 $K(\alpha)$ の $\alpha$ を原始元といいます.

 

原始元 $\alpha$ に対して,$\alpha$ を根にもつ $K$ 上多項式で零でないもののうち次数が最小のものを $\alpha$ の $K$ 上最小多項式と呼び,これは $K[x]$ において既約です.

単純拡大 $K(\alpha)/K$ の拡大次数と $\alpha$ の$K$ 上最小多項式 $f(x)$ の次数について\begin{eqnarray}[K(\alpha):K]=\deg f(x)\end{eqnarray}が成り立ちます.

 

 

ここからはガロア理論の基本定理を目標におさらいをしていきますが,冗長になるためこれも証明は略します.

 

$L/K$ が体の拡大で $K$ 上の多項式が必ず $L$ で根をもつとき,$L$ は $K$ の代数閉包であるといいます.

$f(x)\in K[x]$ が $K$ の代数閉包で重根をもたないとき,$f(x)$ は $K$ 上の分離多項式であるといいます.

$L/K$ が代数拡大で任意の $\alpha\in L$ の最小多項式が分離多項式のとき,$L/K$ を分離拡大といいます.

有限次分離拡大は必ず単純拡大となることが知られています.

また,標数 $0$ の体の有限次拡大は必ず分離拡大であることも知られており,$\mathbb{Q}$ や $\mathbb{R}$,$\mathbb{C}$,またこれらの拡大も標数は $0$ です.

 

$L/K$ が代数拡大で任意の $\alpha$ の $K$ 上最小多項式 $f(x)$ の根がすべて $L$ に含まれるとき,$L/K$ を正規拡大といいます.

 

分離的な有限次正規拡大のことを,ガロア拡大といいます. 

つまり,標数 $0$ の体においてガロア拡大とは有限次正規拡大のことです.

$L/K$ がガロア拡大のとき,$K$ を固定する $L$ の自己同型写像全体の集合を $\mathrm{Gal}(L/K)$ と記します.

$\mathrm{Gal}(L/K)$ は群となるので,これをガロア拡大 $L/K$ のガロア群と呼びます.

$\mathrm{Gal}(L/K)$ の部分群 $H$ に対して,任意の $σ\in H$ で $σ(x)=x$ となるような $x\in L$ の全体の集合を $L^{H}$ と記すと,これは $L/K$ の中間体となり,これを $H$ の不変体といいます.

$L/K$ が代数拡大で,$L$ のすべての元の $K$ 上最小多項式の代数閉包における根をすべて $L$ に付け加えて作った体を $\tilde{L}$ と記すと,$\tilde{L}$ は$K$ のガロア拡大体となり,これを $L/K$ のガロア閉包といいます.

 

$L/K$ をガロア拡大とすると,$L/K$の任意の中間体 $M $ に対して $L/M $ もガロア拡大となります. 

$G=\mathrm{Gal}(L/K)$ とおくと,ガロア群 $G$ の部分群全体とガロア拡大 $L/K$ の中間体全体との間には\begin{eqnarray}H\longleftrightarrow L^{H}\end{eqnarray}という1対1対応があります.

また,ガロア群の位数とガロア拡大の次数の間には\begin{eqnarray}|G|=[L:K]\end{eqnarray}という関係があります.

そして,ガロア群の部分群 $H$ と対応する中間体 $L^{H}$ の拡大次数との間には\begin{eqnarray}[L^{H}:K]=|G|/|H|\end{eqnarray}という関係が成り立ちます.

これらの結果は,ガロア理論の基本定理と呼ばれています.

 

 

さて,以上の道具を使って代数学の基本定理を証明します.

そのための準備として,$\mathbb{R}$ や $\mathbb{C}$ の拡大について,次の(1),(2)を示しておきます.

(1) $\mathbb{R}$ の非自明な有限次拡大は偶数次数である.

(2) $\mathbb{C}$ は2次拡大をもたない.

 

(1)

$\mathbb{R}$ の非自明な有限次拡大 $K$ を任意にとり,拡大次数を $[K:\mathbb{R}]=2^{n}q$ ($q$:奇数) とします.

$K/\mathbb{R}$ は有限次分離拡大ゆえ単純拡大なので,ある $\alpha$ で $K=\mathbb{R}(\alpha)$ となります.

$\alpha$ の $\mathbb{R}$ 上最小多項式を $f(x)$ とすると $\deg f(x)=[K:\mathbb{R}]=2^{n}q$ です.

もし $n=0$ と仮定すると $\deg f(x)=q$ は奇数だが,奇数次数の $\mathbb{R}$ 上多項式は必ず実根をもつので,$f(x)$ が既約となるのは $q=1$ の時のみです.

ところがこのとき $\alpha\in\mathbb{R}$ となり $K=\mathbb{R}$ となるので矛盾します.

よって $n\neq 0$ となります.■

 

(2)

2次拡大 $K/\mathbb{C}$ が存在すると仮定します.

このとき,(1)の証明と同様にしてある $\alpha$ で $K=\mathbb{C}(\alpha)$ となり,$\alpha$ の $\mathbb{C}$ 上最小多項式を $f(x)$ とすると $\deg f(x)=2$ となります.

ところが最初に例で見たように複素数上の2次多項式は $\mathbb{C}$ に根を持つので $K=\mathbb{C}$ となり矛盾します.

よって $\mathbb{C}$ は2次拡大をもちません.■

 

 

ではいよいよ,代数学の基本定理を証明します.

 

$\mathbb{C}$ 上の多項式 $f(x)$ を任意にとり, $f(x)$ の根をすべて含むような最小の体を $K$ とします.

$K=\mathbb{C}$ を示せばよいです.

 

$K/\mathbb{R}$ のガロア閉包を $\tilde{K}$ とおくと,$\tilde{K}/\mathbb{R}$ はガロア拡大だからガロア理論の基本定理より $\tilde{K}/\mathbb{C}$ もガロア拡大です.

(1) より $\tilde{K}/\mathbb{R}$ の拡大次数は $[\tilde{K}:\mathbb{R}]=2^{n}q$ ($n>0$, $q$:奇数) と表せます.

$\tilde{K}/\mathbb{R}$ のガロア群を $G=\mathrm{Gal}(\tilde{K}/\mathbb{R})$ とおくと ガロアの基本定理より $|G|=[\tilde{K}:\mathbb{R}]=2^{n}q$ となります.

よって,シローの定理より $G$ は$2$シロー部分群 $H$, $|H|=2^{n}$ を持ちます. 

この部分群 $H$ には中間体 $\tilde{K}^{H}$ が対応していて,$\tilde{K}^{H}/\mathbb{R}$ の拡大次数をガロア理論の基本定理を用いて求めると\begin{eqnarray}[\tilde{K}^{H}:\mathbb{R}]&=&|G|/|H|\\&=&q\end{eqnarray}となります.

よって (1) から $q=1$ となり,$\tilde{K}^{H}=\mathbb{R}$, $|G|=[\tilde{K}:\mathbb{R}]=2^{n}$ となります.

したがって $\tilde{K}/\mathbb{C}$ の拡大次数は\begin{eqnarray}[\tilde{K}:\mathbb{C}]&=&[\tilde{K}:\mathbb{R}]/[\mathbb{C}:\mathbb{R}]\\&=&2^{n-1}\end{eqnarray}となります.

(2) より $\mathbb{C}$ は2次拡大を持たないので,$n\neq 2$,つまり $n=1$ または $n>2$ です.

ここで $n>2$ と仮定します.

$\mathrm{\tilde{K}/\mathbb{C}}$ のガロア群を $G_{1}=\mathrm{Gal}(\tilde{K}/\mathbb{C})$ とおくと,ガロア理論の基本定理より\begin{eqnarray}|G_{1}|&=&[\tilde{K}:\mathbb{C}]\\&=&2^{n-1}\end{eqnarray}です.

よって $G_{1}$ は位数 $2^{n-2}$ の部分群 $H_{1}$ を持ちます.

ガロア理論の基本定理よりこの $H_{1}$ は中間体 $\tilde{K}^{H_{1}}$ と対応していて\begin{eqnarray}[\tilde{K}^{H_{1}}:\mathbb{C}]&=&|G_{1}|/|H_{1}|\\&=&2\end{eqnarray}となります.

ところがこれは (2) と矛盾しています.

よって $n=1$ となり,$\tilde{K}/\mathbb{C}$ は自明な拡大となります.

したがって $\tilde{K}=\mathbb{C}$ となり $K=\mathbb{C}$ が得られました.■

 


これで証明はおしまいです.

奇数次の実数係数多項式が実根をもつという部分に目をつむればだいたい代数の言葉で証明が出来て,なんだか嬉しいですね. 

 

 

参考文献

[1] Fine, Benjamin; Rosenberger, Gerhard. (2002)『代数学の基本定理』(新妻弘・木村哲三訳) 共立出版

[2]雪江明彦(2013)『整数論1: 初等整数論からp進数へ』日本評論社

 

ガンマ関数を使ってζ(2n)を求める話

こんにちは.ぱいです. 

 

このあいだ $\displaystyle\zeta(s)=\frac{1}{1^{s}}+\frac{1}{2^{s}}+\frac{1}{3^{s}}+\cdots$ は $\mathrm{Re}(s)>1$ で収束するということを書きました.

最近,$s=2n\ (n=1,2,\dots)$ に対してその極限が

$\displaystyle\zeta(2n)=\frac{1}{1^{2n}}+\frac{1}{2^{2n}}+\frac{1}{3^{2n}}+\cdots=\frac{(-1)^{n-1}2^{2n-1}B_{2n}}{(2n)!}\pi^{2n} \tag{1}$

となるということを勉強して面白いと思ったので,今日はそれを書きます.

 

 

(1)に現れる $B_{n}$ はベルヌーイ数と呼ばれるもので,

$\displaystyle\frac{t}{e^{t}-1}=\sum_{k=0}^{\infty}\frac{B_{k}}{k!}t^{k} \tag{2}$

で定義されます.

$\displaystyle\frac{t}{e^{t}-1}$ の極は $t=2n\pi i\ (n\in\mathbb{Z}\setminus\{0\})$ のみなので,ベキ級数の収束円盤は $|t|<2\pi$ です.

$\displaystyle\frac{t}{e^{t}-1}$ を具体的にベキ級数展開してみると

\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{t}{e^{t}-1}&=&\frac{t}{t+\frac{1}{2!}t^{2}+\frac{1}{3!}t^{3}+\cdots}\\&=&\frac{1}{1+\frac{1}{2!}t+\frac{1}{3!}t^{2}+\cdots}\\&=&1-\left(\frac{1}{2!}t+\frac{1}{3!}t^{2}+\cdots\right)+\left(\frac{1}{2!}t+\frac{1}{3!}t^{2}+\cdots\right)^{2}-\left(\frac{1}{2!}t+\frac{1}{3!}t^{2}+\cdots\right)^{3}+\cdots\\&=&1-\frac{1}{2}t+\frac{1}{12}t^{2}+0\cdot t^{3}-\frac{1}{720}t^{4}+\cdots\end{eqnarray}

となります.

 

奇数番目のベルヌーイ数は $\displaystyle B_{1}=-\frac{1}{2}$ を除いてすべて $0$ です.

実際,\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{t}{e^{t}-1}-\frac{-t}{e^{-t}-1}&=&\frac{t}{e^{t}-1}-\frac{-te^{t}}{1-e^{t}}\\&=&\frac{t\left(1-e^{t}\right)}{e^{t}-1}\\&=&-t\end{eqnarray}より\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{B_{k}}{k!}t^{k}-\sum_{k=0}^{\infty}\frac{B_{k}}{k!}(-t)^{k}=-t\end{eqnarray}つまり \begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}\frac{B_{k}}{k!}\left(1-(-1)^{k}\right)t^k=-t\end{eqnarray} なので,$k\geq 2$ に対して $B_{k}\left(1-(-1)^{k}\right)=0$ となります.

 

ベルヌーイ数を計算するには,漸化式\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty}{}_{n}\mathrm{C}_{k}B_{k}=(-1)^{n}B_{n}\end{eqnarray}が便利です.この漸化式は次の母関数の係数を比較して得られます;

\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n=0}^{\infty}(-1)^{n}B_{n}\frac{t^{n}}{n!}&=&\sum_{n=0}^{\infty}\frac{B_{n}}{n!}(-t)^{n}\\&=&\frac{-t}{e^{-t}-1}\hspace{15pt}(|t|<2\pi)\\&=&\frac{t}{e^{t}-1}\cdot e^{t}\\&=&\left(\sum_{l=0}^{\infty}\frac{B_{l}}{l!}t^{l}\right)\left(\sum_{m=0}^{\infty}\frac{1}{m!}t^{m}\right)\\&=&\sum_{n=0}^{\infty}\left(\sum_{k=0}^{n}\frac{B_{k}}{k!}\cdot\frac{1}{(n-k)!}\right)t^{n}\\&=&\sum_{n=0}^{\infty}\left(\sum_{k=0}^{n}{}_{n}\mathrm{C}_{k}\ B_{k}\right)\frac{t^{n}}{n!}\end{eqnarray}

 

 

さて,(1)を証明するために$\Gamma$関数というものを使うので,それについて説明しておきます.

 

$\Gamma$関数とは階乗 $n\mapsto n!$ の補間関数のことで,

$\displaystyle\Gamma(s):=\lim_{N\to\infty}\frac{N^{s}(N-1)!}{s(s+1)\cdots(s+N-1)}\hspace{10pt}(s\neq 0,-1,-2,\dots)\tag{3}$ 

で定義されます.

$\displaystyle\Gamma_{N}(s):=\frac{N^{s}(N-1)!}{s(s+1)\cdots(s+N-1)}$ とおくと\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{\Gamma_{N+1}(s)}{\Gamma_{N}(s)}&=&\frac{(N+1)^{s}N}{N^{s}(s+N)}\\&=&\left(1+\frac{1}{N}\right)^{s}\left(1+\frac{s}{N}\right)^{-1}\\&=&\left(1+\frac{s}{N}+O\left(\frac{1}{N^{2}}\right)\right)\left(1-\frac{s}{N}+O\left(\frac{1}{N^{2}}\right)\right)\\&=&1+O\left(\frac{1}{N^{2}}\right)\end{eqnarray} より $\displaystyle\prod_{N=1}^{\infty}\frac{\Gamma_{N+1}(s)}{\Gamma_{N}(s)}$ は収束して,(3)は $\displaystyle\Gamma_{1}(s)\prod_{N=1}^{\infty}\frac{\Gamma_{N+1}(s)}{\Gamma_{N}(s)}$ に収束します.

余談ですが,\begin{eqnarray}\displaystyle\int_{0}^{N}\left(1-\frac{t}{N}\right)^{N}t^{s-1}\mathrm{d}t=\frac{N}{N+s}\Gamma_{N}(s)\end{eqnarray}が成り立ち(3)は $\mathrm{Re}(s)>0$ で収束する広義積分 $\displaystyle\int_{0}^{\infty}e^{-t}t^{s-1}\mathrm{d}t$ と一致することが知られています.

 

この$\Gamma$関数は,階乗の最も基本的な性質 $(n+1)!=(n+1)\cdot n!$ と似たように \begin{eqnarray}\displaystyle\Gamma(s+1)&=&\lim_{N\to\infty}\frac{N^{s+1}(N-1)!}{(s+1)(s+2)\cdots(s+N)}\\&=&\lim_{N\to\infty}\frac{sN^{s}N!}{s(s+1)(s+2)\cdots(s+N)}\\&=&\lim_{N\to\infty}\frac{s(N+1)^{s}N!}{s(s+1)(s+2)\cdots(s+N)}\cdot\frac{N^{s}}{(N+1)^{s}}\\&=&s\lim_{N\to\infty}\Gamma_{N+1}(s)\lim_{N\to\infty}\left(\frac{N}{N+1}\right)^{s}\\&=&s\Gamma(s)\end{eqnarray}という性質を持ちます.

ここで $\displaystyle\Gamma(1)=\lim_{N\to\infty}\frac{N\cdot(N-1)!}{1\cdot 2\cdot\cdots\cdots N}=1$ より帰納的に\begin{eqnarray}\Gamma(n)=(n-1)!\hspace{10pt}(n=1,2,3,\dots)\end{eqnarray}となります. 

 

$\Gamma$関数の対数は,オイラー定数 $\displaystyle\gamma=\lim_{N\to\infty}\left(\sum_{n=1}^{N-1}\frac{1}{n}-\log{N}\right)$ を用いて

$\displaystyle\log\Gamma(1+s)=-\gamma s+\sum_{k=2}^{\infty}\frac{(-1)^{k}\zeta(k)}{k}s^{k}\hspace{10pt}(|s|<1)\tag{4}$ 

と表せます. 

これは,(3)を変形して $\displaystyle\Gamma(1+s)=s\Gamma(s)=\lim_{N\to\infty}\frac{N^{s}}{\left(\frac{s}{1}+1\right)\left(\frac{s}{2}+1\right)\cdots\left(\frac{s}{N-1}+1\right)}$ として対数をとり\begin{eqnarray}\displaystyle\log\Gamma(1+s)&=&\lim_{N\to\infty}\left(s\log{N}-\sum_{n=1}^{N-1}\log\left(1+\frac{s}{n}\right)\right)\\&=&\lim_{N\to\infty}\left(s\log{N}-\sum_{n=1}^{N-1}\left(\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k- 1}}{kn^{k}}s^{k}\right)\right)\\&=&\lim_{N\to\infty}\left(s\log{N}+\sum_{n=1}^{N-1}\left(-\frac{1}{n}s+\sum_{k=2}^{\infty}\frac{(-s)^{k}}{kn^{k}}\right)\right)\\&=&-\gamma s+\sum_{n=1}^{\infty}\sum_{k=2}^{\infty}\frac{(-s)^{k}}{kn^{k}}\\&=&-\gamma s+\sum_{k=2}^{\infty}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-s)^{k}}{kn^{k}}\\&=&-\gamma s+\sum_{k=2}^{\infty}\frac{(-s)^{k}}{k}\zeta(k)\end{eqnarray}で得られます.

途中の二重級数の極限交換は,\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{k=2}^{\infty}\sum_{n=1}^{\infty}\left|\frac{(-s)^{k}}{kn^{k}}\right|&=&\sum_{k=2}^{\infty}\frac{\zeta(k)}{k}|s|^{k}\\&\leq&\sum_{k=2}^{\infty}\frac{\zeta(2)}{k}|s|^{k}\\&=&\zeta(2)\sum_{k=2}^{\infty}\frac{1}{k}|s|^{k}\end{eqnarray}

で $\displaystyle\sum_{k=2}^{\infty}\frac{1}{k}|s|^{k}$ が $|s|<1$ で収束することから許されます. 

 

また,$\Gamma$関数について相補公式と呼ばれる公式\begin{eqnarray}\displaystyle\Gamma(s)\Gamma(1-s)=\frac{\pi}{\sin{\pi s}}\hspace{10pt}(s\notin\mathbb{Z})\end{eqnarray}があり,これを少し変形すると

$\displaystyle\Gamma(1+s)\Gamma(1-s)=\frac{\pi s}{\sin{\pi s}}\hspace{10pt}(s\notin\mathbb{Z})\tag{5}$

となります.

これは,(3)の変形 $\displaystyle\Gamma(1+s)=\lim_{N\to\infty}\frac{N^{s}}{\prod_{n=1}^{N-1}\left(1+\frac{s}{n}\right)}$ と有名な公式 $\displaystyle\prod_{n=1}^{\infty}\left(1-\frac{s^{2}}{n^{2}}\right)=\frac{\sin{\pi s}}{\pi s}$ を用いて\begin{eqnarray}\displaystyle\Gamma(1+s)\Gamma(1-s)&=&\lim_{N\to\infty}\frac{N^{s}}{\prod_{n=1}^{N-1}\left(1+\frac{s}{n}\right)}\cdot\lim_{N\to\infty}\frac{N^{-s}}{\prod_{n=1}^{N-1}\left(1+\frac{-s}{n}\right)}\\&=&\lim_{N\to\infty}\frac{1}{\prod_{n=1}^{N-1}\left(1-\frac{s^{2}}{n^{2}}\right)}\\&=&\frac{\pi s}{\sin{\pi s}}\end{eqnarray} で得られます.

余談ですが,相補公式に $\displaystyle s=\frac{1}{2}$ を代入したりして $\displaystyle\Gamma(\frac{1}{2})=\sqrt{\pi}$ などが得られたりします.

 

 

さて,いよいよ(1)の公式を証明します.

$|s|<1$ で母関数 $\displaystyle G(s):=\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}2^{2n-1}B_{2n}}{(2n)!}\pi^{2n}\cdot s^{2n}$ を考えると,\begin{eqnarray}\displaystyle G(s)&=&-\frac{1}{2}\left(\sum_{n=1}^{\infty}\frac{B_{2n}}{(2n)!}(2\pi si)^{2n}\right)\\&=&-\frac{1}{2}\left(\sum_{n=0}^{\infty}\frac{B_{n}}{n!}(2\pi si)^{n}-\frac{B_{0}}{0!}(2\pi si)^{0}-\sum_{n=0}^{\infty}\frac{B_{2n+1}}{(2n+1)!}(2\pi si)^{2n+1}\right)\\&=&-\frac{1}{2}\left(\sum_{n=0}^{\infty}\frac{B_{n}}{n!}(2\pi si)^{n}-\frac{B_{0}}{0!}(2\pi si)^{0}-\frac{B_{1}}{1!}(2\pi si)^{1}\right)\hspace{10pt}(\because\forall n\geq 1,B_{2n+1}=0)\\&=&-\frac{1}{2}\left(\frac{2\pi si}{e^{2\pi si}-1}-1+\pi si\right)\hspace{10pt}(\because(2))\\&=&\frac{1}{2}-\frac{\pi si}{2}\left(\frac{2}{e^{2\pi si}-1}+1\right)\\&=&\frac{1}{2}-\frac{\pi si}{2}\frac{e^{\pi si}+{e^{-\pi si}}}{e^{\pi si}-e^{-\pi si}}\\&=&\frac{1}{2}-\frac{\pi si}{2}\frac{\ \cos{\pi s}}{i\sin{\pi s}}\\&=&\frac{s}{2}\left(\frac{1}{s}-\frac{\pi\cos{\pi s}}{\ \sin{\pi s}}\right)\\&=&\frac{s}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\left(\log{\pi s}-\log{\sin{\pi s}}\right)\\&=&\frac{s}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\log{\frac{\pi s}{\sin{\pi s}}}\\&=&\frac{s}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\log(\Gamma(1+s)\Gamma(1-s))\hspace{10pt}(\because(5))\\&=&\frac{s}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}(\log\Gamma(1+s)+\log\Gamma(1-s))\\&=&\frac{s}{2}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\left(\left(-\gamma s+\sum_{n=2}^{\infty}\frac{\zeta(n)}{n}(-s)^{n}\right)+\left(\gamma s+\sum_{n=2}^{\infty}\frac{\zeta(n)}{n}s^{n}\right)\right)\hspace{10pt}(\because(4))\\&=&s\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\left(\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\zeta(2n)}{2n}s^{2n}\right).\end{eqnarray}

ここで $\displaystyle f(s):=\sum_{n=1}^{\infty}\left|\frac{\zeta(2n)}{2n}s^{n}\right|$ とすると\begin{eqnarray}\displaystyle f(s)&\leq&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\zeta(2)}{2n}|s|^{n}\\&=&\frac{\zeta(2)}{2}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n}|s|^{n}\end{eqnarray}で,$s=0$ を中心とする $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{1}{n}|s|^{n}$ の収束半径は $1$ だから,$f(s)$ の収束半径は $1$ 以上です.

よって $\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\zeta(2n)}{2n}s^{2n}$ も $|s|<1$ で収束し項別微分でき,\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\zeta(2n)}{2n}s^{2n}&=&\sum_{n=1}^{\infty}\frac{\mathrm{d}}{\mathrm{d}s}\frac{\zeta(2n)}{2n}s^{2n}\\&=&\sum_{n=1}^{\infty}\zeta(2n)s^{2n-1}\end{eqnarray}となります.

従って\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n=1}^{\infty}\frac{(-1)^{n-1}2^{2n-1}B_{2n}}{(2n)!}\pi^{2n}s^{2n}=\sum_{n=1}^{\infty}\zeta(2n)s^{2n}\end{eqnarray}となり,係数を比較して\begin{eqnarray}\displaystyle\zeta(2n)=\frac{(-1)^{n-1}2^{2n-1}B_{2n}}{(2n)!}\pi^{2n}\end{eqnarray}を得ます.

 

この公式の $n$ に具体的な値を代入して例えば\begin{eqnarray}\displaystyle\zeta(2)=\frac{1}{1^{2}}+\frac{1}{2^{2}}+\frac{1}{3^{2}}+\cdots=\frac{1}{6}\pi^{2}\end{eqnarray}とかが分かります.

 

$\displaystyle\frac{1}{1^{2n}}+\frac{1}{2^{2n}}+\frac{1}{3^{2n}}+\cdots$ と足していくと突然 $\pi$ が現れるのも面白いし,$\pi$ の指数が $2n$ で揃ってるのも綺麗だと感じました.

おしまい.

 

 

参考文献

[1] D. B. ザギヤー (1990) 『数論入門 -ゼータ関数と2次体-』(片山孝次訳) 岩波書店

[2] 杉浦光夫 (1980) 『解析入門I』 東京大学出版会

 

Z/nZの単元群の構造の話

こんにちは,ぱいです.

月に1回ぐらいはブログ更新したいなーと思っていて,前に記事を書いてから1か月ぐらい経ちました.

最近ゼミで $(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}$ の群構造の勉強をしたので,そのことを書いていきます.

 

 

$n=p_{1}^{a_{1}}p_{2}^{a_{2}}\dots p_{t}^{a_{t}}$ と因数分解されているとき中国剰余定理により

\begin{eqnarray}\mathbb{Z}/n\mathbb{Z}\cong(\mathbb{Z}/p_{1}^{a_{1}}\mathbb{Z})\times(\mathbb{Z}/p_{2}^{a_{2}}\mathbb{Z})\times\dots\times(\mathbb{Z}/p_{t}^{a_{t}}\mathbb{Z})\end{eqnarray}

という環の同型があるので,単元群について次のような同型が成り立ちます;

\begin{eqnarray}(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}\cong(\mathbb{Z}/p_{1}^{a_{1}}\mathbb{Z})^{\times}\times(\mathbb{Z}/p_{2}^{a_{2}}\mathbb{Z})^{\times}\times\dots\times(\mathbb{Z}/p_{t}^{a_{t}}\mathbb{Z})^{\times}\end{eqnarray}

よって,$(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}$ の群構造を考えるには,素数 $p$ で $(\mathbb{Z}/p^{a}\mathbb{Z})^{\times}$ の構造を調べれば十分です. 

 

 

まずは,シンプルな $(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}$ を考えてみましょう.

そのために,いくつか準備をしておきます.

 

命題1.(フェルマーの小定理)  $p\nmid a$ なら $a^{p-1}\equiv1\bmod p$ が成り立つ.

(証明)

$a$ に関する帰納法で $a^{p}\equiv a\bmod p$ が示せる.$■$

 

命題2.$k$ が体で $f(x)\in k[x]$ の次数が $n$ なら,$f$ の $A$ における根は高々 $n$ 個しかない.

(証明)

$n$ に関する帰納法で,因数定理を用いて示せる.$■$

 

系3.$d\mid p-1$ なら $x^{d}\equiv1\bmod p$ は丁度 $d$ 個の解を持つ.

(証明)

命題2より,$x^{d}-1\equiv0$ は高々 $d$ 個の解をもつ.

そこで,$x^{d}-1\equiv0$ の解が $d$ 個よりも少ないと仮定する.

さて,$p-1=de$ とおくと

\begin{eqnarray}x^{p-1}-1&=&(x^{d})^{e}-1\\&=&(x^{d}-1) ( (x^{d})^{e-1}+(x^{d})^{e-2}+\dots+x^{d}+1)\end{eqnarray}

なので,この根の個数は $d+d(e-1)$ 個よりも少ない.つまり $p-2$ 個以下のはずである.

ところが,フェルマーの小定理より $x^{p-1}-1$ は $1,2,\dots,p-1$ の $p-1$ 個の根をもつ.

これは矛盾しているので,$x^{d}-1$ の根は丁度 $d$ 個である.$■$

 

定理4. $p$ が素数なら $(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}$ は巡回群となる.

(証明)

$(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})^{\times}$ の位数は $p-1$ なので,位数 $p-1$ の元の存在を示せばいい.

$p-1=q_{1}^{a_{1}}q_{2}^{a_{2}}\dots q_{t}^{a_{t}}$ と因数分解しておき,各 $i$ について次の2つの方程式を考える;

\begin{eqnarray}x^{q_{i}^{a_{i}-1}}&\equiv&0\bmod p\hspace{15pt}(1)\\ x^{q_{i}^{a_{i}}}&\equiv&0\bmod p\hspace{15pt}(2)\end{eqnarray}

系3から,(2)の方が(1)よりもたくさんの解をもつ.

そこで各 $i$ について,(1)をみたさないが(2)をみたすようなものを $g_{i}$ とおく.

すると,各 $i$ で $g_{i}$ の$\bmod p$ での位数は $q_{i}^{a_{i}}$ である.

実際,$g_{i}$ は(2)の解だから位数は $q_{i}^{b_{i}}\ (b\leq a_{i})$ という形をしているが,もし $b_{i}\lneq a_{i}$と仮定すると

\begin{eqnarray}g_{i}^{q_{i}^{a_{i}-1}}&=&(g_{i}^{q_{i}^{b_{i}}})^{q_{i}^{a_{i}-1-b}}\\&\equiv&1\hspace{30pt}\bmod p\end{eqnarray}

となり,これは $g_{i}$ が(1)をみたさないことに矛盾する.

よって $b_{i}=a_{i}$ である.

さて,$g:=g_{1}g_{2}\dots g_{t}$ とおく.

すると,$g$ の位数が $p-1$ であることが次のようにしてわかる.

まず,各 $i$ で $q_{i}^{a_{i}}\mid p-1$ より $g_{i}^{p-1}\equiv 1$ なので $g^{p-}$ となる.

よって,$g$ の位数を $n$ とおくと $n$ は $p-1$ の倍数で,$n=q_{1}^{c_{1}}q_{2}^{c_{2}}\dots q_{t}^{c_{t}}\ (c_{i}\leq a_{i})$ という形をしている.

ある $k$ で $c_{k}\lneq a_{k}$ となると仮定し,$m:=q_{1}^{a_{1}}q_{2}^{a_{2}}\dots q_{k}^{c_{k}}\dots q_{t}^{a_{t}}$ とおく.($q_{k}$ の肩だけ $c$ で,他の肩は $a$)

すると,$i\neq k$ で $q_{i}^{a_{i}}\mid m $ で $i=k$ で $q_{k}^{a_{k}}\not\mid m $ なので

\begin{eqnarray}g^{m}&\equiv&g_{k}^{m}\\&\not\equiv&1\bmod p\end{eqnarray}

である.

ところが $m $ は $n$ の倍数なので $g^{m}\equiv 1\bmod p$ であり,これは矛盾している.

したがってすべての $i$ で $c_{i}=a_{i}$ で,$n=p-1$ となる.

つまり,この $g$ が $(\mathbb{Z}/p\mathbb{Z})$ の生成元である. $■$

 

定義5. $(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}$ が巡回群のとき,その生成元を$\bmod p$ に対する原始根と呼ぶ.

 

定理4は,$p$ が素数なら$\bmod p$ に対する原始根が存在するということを言っていたのでした.

 

 

それでは, $(\mathbb{Z}/p^{l}\mathbb{Z})^{\times}$ を見ていきましょう.

そのために,いくつかの補題を用意しておきます.

 

補題6. $a\equiv b\bmod p^{l}$ なら $a^{p}\equiv b^{p}\bmod p^{l+1}$ となる.$(l\geq1)$

(証明)

$a\equiv b\bmod p^{l}$ のとき,ある $c\in\mathbb{Z}$ で $a=b+cp^{l}$ と表せるので,

\begin{eqnarray}\displaystyle a^{p}&=&(b+cp^{l})^{p}\\&=&b^{p} + pb^{p-1}cp^{l+1} + \sum_{k=2}^{p} {}_{p}\mathrm{C}_{k} b^{p-k}c^{k}p^{kl}\\&\equiv&b^{p}\bmod p^{l+1}\end{eqnarray} 

となる. $■$

 

系7. $l\geq 2$,$p\neq 2$ のとき,$ (1+ap)^{p^{l-2}}\equiv 1+ap^{l-  1}\bmod p^{l}$ となる.$(\forall a\in\mathbb{Z})$

(証明)

$l$ の帰納法で示す.

$l=2$ のときはオッケー.

$l$ で主張が正しいと仮定すると,この仮定に補題6を用いて

\begin{eqnarray}( (1+ap)^{p^{l-2}})^p\equiv (1+ap^{l -  1})^{p}\bmod p^{l}\end{eqnarray}

つまり

\begin{eqnarray}\displaystyle (1+ap)^{p^{l-  1}}&\equiv&1+pap^{l-  1}+ \sum_{k=2}^{p-1}{}_{p}\mathrm{C}_{k}a^{k}p^{k(l-  1)} + a^{p}p^{p(l-  1)}\\&\equiv&1+ap^{l}\bmod p^{l+1}\end{eqnarray} 

を得る. $■$

 

系8. $l\geq 2$,$p\neq 2$ で $p\not\mid a$ のとき,$1+ap$ の$\bmod p^{l}$ での位数は $p^{l-  1}$ である.

(証明)

$l+1$ で系7を用い,$(1+ap)^{p^{l-  1}}\equiv 1\bmod p^{l}$ がわかる.

また,系7より $(1+ap)^{p^{l-2}}\not\equiv 1\bmod p^{l}$ である.

よって,定理4の証明のときと同じような方法で $1+ap$ の$\bmod p^{l}$ での位数は $p^{l-  1}$ と分かる. $■$

 

さて,この補題を使って $(\mathbb{Z}/p^{l}\mathbb{Z})^{\times}$ の構造を調べていくのですが,$p=2$ のとき例えば $l=3,\ a=3$ とかでこの補題は成立しません.

だから,$p$ が奇素数のときと $p=2$ のときとで分けて考えていきます.

 

定理9. $p$ が奇素数のとき,$(\mathbb{Z}/p^{l}\mathbb{Z})^{\times}$ は巡回群である.

(証明)

まず,$\bmod p$ の原始根 $g$ で $g^{p-1}\not\equiv 1\bmod p^{2}$ となるものがとれることを示す.

定理4より$\mod p$ の原始根 $g$ はとれる.

この $g$ で $g^{p-1}\equiv 1\bmod p^{2}$ となるときは,代わりに $g+p$ をとればいい.

実際,このとき $g+p$ も$\bmod p$ の原始根だし,

\begin{eqnarray}\displaystyle (g+p)^{p1}&=&g^{p-1} + (p-1)g^{p-2}p + \sum_{k=2}^{p-1}{}_{p-1}\mathrm{C}_{k}g^{p-1-k}p^{k}\\&\equiv&1+(p-1)g^{p-2}p\bmod p^{2}\\ &\not\equiv& 1\bmod p^{2}\end{eqnarray}

である.

よって,$g^{p-1}\not\equiv 1\bmod p^{2}$ なる$\bmod p$ の原始根 $g$ がとれる.

さて,この $g$ が$\bmod p^{l}$ の原始根となることを示す.

今 $(\mathbb{Z}/p^{l}\mathbb{Z})$ の位数はオイラー関数を用いて $\phi(p^{l})=p^{l-  1}(p-1)$ なので,

\begin{eqnarray} g^{n}\equiv 1\bmod p^{l}\Rightarrow p^{l-  1}(p-1)\mid n\end{eqnarray}

を示せばよい.

さて,$g^{n}\equiv 1\bmod p^{l}$ のとき $g^{n}\equiv 1\bmod p$ で,$g$ は$\bmod p$ で位数 $p-1$ だから,$p-1\mid n$ を得る.

また,$g$ の選び方から,$g^{p-1}$ は $p$ と互いに素なある $a\in\mathbb{Z}$ を用いて $g^{p-1}=1+ap$ と表せる.

このとき

\begin{eqnarray}(1+ap)^{n}&=&(g^{p-1})^{n}\\&=&(g^{n})^{p-1}\\&\equiv&1\bmod p^{l}\end{eqnarray}

で,系8より $1+ap$ の$\bmod p^{l}$ での位数は $p^{l-  1}$ なので,$p^{l-  1}\mid n$ を得る.

今,$p-1$ と $p^{l-  1}$ は互いに素だから,以上から $p^{l-  1}(p-1)\mid n$ となる. $■$

 

 

さて,$\bmod n$ の原始根は必ずしも存在するとは限りません.

例えば, $(\mathbb{Z}/8\mathbb{Z})^{\times}=\{1,3,5,7\}$ は位数 $4$ の元を持たず巡回群でないので,$\bmod 8$ の原始根は存在しません.

$(\mathbb{Z}/2\mathbb{Z})^{\times}=\{1\}$ と $(\mathbb{Z}/4\mathbb{Z})^{\times}=\{1,3\}$ は巡回群ですが,$l\geq 3$ に対して $(\mathbb{Z}/2^{l}\mathbb{Z})^{\times}$ は違った構造になっています.

 

補題10. $l\geq 3$ に対して,$5$ の$\bmod 2^{l}$ での位数は $2^{l-2}$ である.

(証明)

まず,$5^{2^{l-3}}\equiv 1+2^{l-  1}\bmod 2^{l}$ を $l$の帰納法で示しておく.

$l=3$ のときは明らかにオッケー.

$l$ で主張が正しいと仮定すると,この仮定に補題6を用いて

\begin{eqnarray}(5^{2^{l-3}})^{2}\equiv (1+2^{l-  1})^{2} \bmod 2^{l+1}\end{eqnarray}

つまり

\begin{eqnarray}5^{2^{l-2}}&\equiv&1+2^{l}+2^{2(l-  1)}\\&\equiv&1+2^{l}\bmod 2^{l}\end{eqnarray}

である.従って,すべての $l\geq 3$で

\begin{eqnarray}5^{2^{l-3}}&\equiv&1+2^{l-  1}\bmod 2^{l}\\&\not\equiv&1\bmod2^{l}\end{eqnarray}

である.また,$5^{2^{l-2}}\equiv 1+2^{l}\bmod 2^{l+1}$ より $5^{2^{l-2}}\equiv 1\bmod 2^{l}$ である.

よって,定理4の証明のときと同じ方法で,$5$ の$\bmod 2^{l}$ での位数は $2^{l-2}$ とわかる. $■$

 

定理11. $l\geq 3$ に対して $(\mathbb{Z}/2^{l}\mathbb{Z})^{\times}$ は$C_{2}\times C_{2^{l-2}}$ と同型.ただし $C_{r}$ は位数 $r$ の巡回群

(証明)

 $G:=\left\{\overline{(-1)^{a}5^{b}}\mid a=0,1,\ 0\leq b<2^{l-2}\right\}$ とおく.ただし $\overline{x}$ は $x$ の$\bmod 2^{l}$ での剰余類とする.

まず,$\overline{(-1)^{a}5^{b}}$ たちがそれぞれ異なることを示す.

$(-1)^{a}5^{b}\equiv (-1)^{c}5^{d}\bmod 2^{l}$ のとき,$5\equiv 1\bmod 4$ より $(-1)^{a}1^{b}\equiv(-1)^{c}1^{d}\bmod 4$ つまり $(-1)^{a}\equiv(-1)^{c}\bmod 4$ となる.

よって $a=c$ となる.

このとき $5^{b}\equiv 5^{d}\bmod 2^{l}$ より $5^{b-d}\equiv 1\bmod 2^{l}$ である.

よって補題10より $b-d$ は $2^{l-2}$ の倍数なので,$0\leq b,d<2^{l-2}$ より $b=d$ となる.

従って $G$ の元の個数は $2^{l-  1}=\phi(2^{l})$ なので,$(\mathbb{Z}/2^{l}\mathbb{Z})=G$ となる.

よって $(\mathbb{Z}/2^{l}\mathbb{Z})\cong C_{2}\times C_{2^{l-2}}$ である. $■$

 

 

以上をまとめると,$(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^{\times}$ の構造は次のようになります.

 

定理12.$n=2^{a}p_{1}^{a_{1}}p_{2}^{a_{2}}\dots p_{t}^{a_{t}}$ と因数分解されているとき,

\begin{eqnarray}(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})\cong (\mathbb{Z}/2^{a}\mathbb{Z})^{\times}\times C_{\phi(p_{1}^{a_{1}})}\times C_{\phi(p_{2}^{a_{2}})}\times\dots\times C_{\phi(p_{t}^{a_{t}})}\end{eqnarray}

であり,$(\mathbb{Z}/2^{a}\mathbb{Z})^{\times}$ は $a=1,2$ のときそれぞれ $C_{1},C_{2}$ と同型で,$a\geq 3$ のとき $C_{2}\times C_{2^{a-2}}$ と同型である.

 

 

ではまた.

 

(途中,まちがいを指摘してもらって書き直しました.2017.6.12)

 

 

参考文献

Ireland, Kenneth; Rosen, Michael. 1990. A Classical Introduction to Modern Number Theory. New York: Springer-Verlag.

 

ベキ級数の収束半径とディリクレ級数の収束軸の話

こんにちは,ぱいです.

最近おもしろいと思ったことを書きます.

 

 

このごろディリクレ級数と呼ばれる級数を勉強しています.

ベキ級数と似た性質やびみょーに異なった性質とかがあって面白いので,ディリクレ級数の話を書く前にベキ級数の話をざーっとおさらいしておきます.

 

 

 数列 $\{a_{n}\}_{n\in\mathbb{N}}$ に対して $\displaystyle \sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}\ \ (z\in\mathbb{C})$ をベキ級数といいます.

 

$z_{0}\in\mathbb{C}$ に対して $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z_{0}^{n}$ が収束するとき,$\{a_{n}z_{0}^{n}\}_{n\in\mathbb{N}}$ は収束するので有界で,ある $C>0$ が存在して任意の $n\in\mathbb{N}$ で $|a_{n}z_{0}^{n}|<C $ となります. 

このとき任意の $z\in\mathbb{C},\ n\in\mathbb{N}$ で\begin{eqnarray}\displaystyle|a_{n}z^{n}|&<&C\left|\frac{z}{z_{0}}\right|^{n}\end{eqnarray}

なので,\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}|a_{n}z^{n}|&<&\sum_{n\in\mathbb{N}}C\left|\frac{z}{z_{0}}\right|^{n}\end{eqnarray}となります. よって,$\displaystyle\left|\frac{z}{z_{0}}\right|<1$ つまり $|z|<|z_{0}|$ ならベキ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ は絶対収束します.

そこで,$\displaystyle R_{0}=\sup\{|z|\mid \sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$は収束する$\}$ をベキ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ の収束半径といい,領域 $|z|<R_{0}$ を収束円盤といいます.

つまり,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ は $|z|<R_{0}$ なら収束し,$|z|>R_{0}$ なら発散します.

 

ベキ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ の収束半径 $R_{0}$ は,$\displaystyle R_{0}=\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ で求められます.

まず $\displaystyle R_{0}\leq\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ を示します.

$|z|<R_{0}$ とすると $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ が収束するので $\{a_{n}z^{n}\}_{n\in\mathbb{N}}$ は有界で,ある $M>0$ が存在して任意の $n\in\mathbb{N}$ で\begin{eqnarray}|a_{n}z^{n}|&<&M\end{eqnarray}となります.このとき\begin{eqnarray}|a_{n}|^{-1/n}&>&M^{-1/n}|z|\end{eqnarray}となるので\begin{eqnarray}\displaystyle\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}&>&\liminf_{n\to\infty}M^{-1/n}|z|=|z|\end{eqnarray} となります.よって $\displaystyle R_{0}\leq\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ です.

逆に $\displaystyle R_{0}\geq\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ を示します.

$\displaystyle|z|<\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}=\sup_{n\in\mathbb{N}}\inf_{k>n}|a_{k}|^{-1/k}$ とすると,ある $n_{0}\in\mathbb{N}$ が存在して,\begin{eqnarray}\displaystyle|z|<\inf_{k>n_{0}}|a_{k}|^{-1/k}\end{eqnarray}となります.このとき\begin{eqnarray}\displaystyle\sup_{k>n_{0}}|z||a_{k}|^{1/k}<1\end{eqnarray}より $\displaystyle\sum_{k>n_{0}}|a_{k}z^{k}|$ は収束します.よって $|z|<R_{0}$ となり,$\displaystyle R_{0}\geq\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ です.

 

ベキ級数は収束円盤の内部では必ず収束し収束円盤の外部では必ず発散しますが,円周上では収束したり発散したり時と場合によっていろいろです.

たとえば $\displaystyle a_{n}=\frac{1}{n}$ のベキ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}\frac{z^{n}}{n}$ の収束半径は\begin{eqnarray}\displaystyle R_{0}&=&\liminf_{n\to\infty}\left(\frac{1}{n}\right)^{-1/n}\\&=&1\end{eqnarray}ですが,$z=1$ のとき級数は $+\infty$ に発散し,$z=-1$ のとき級数は $\log 2$ に収束します.

 

 

さて,そろそろディリクレ級数の話を書いていきます.

 

複素数列 $\{a_{n}\}_{n\in\mathbb{N}}$ と発散する狭義単調増加実数列 $\{\lambda_{n}\}_{n\in\mathbb{N}}$ に対して $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}\ \ (s\in\mathbb{C})$ をディリクレ級数といいます.(普段複素数は $z=x+iy$ と書きますが,ディリクレ級数を考えるときは $s=σ+it$ と書くことが多いらしいです.)

 

$\lambda_{n}=n$ のときは,$z=e^{-s}$ とおくとディリクレ級数はベキ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ となります. 

このベキ級数の収束半径を $R_{0}$ とし,$σ_{0}=\log\frac{1}{R_{0}}$ とおいてみましょう.

$|z|=|e^{-s}|=|e^{-σ}|$ なので,$\mathrm{Re}(s)>σ_{0}$ なら $|z|<R_{0}$ となり級数は収束します.

逆に $\mathrm{Re}(s)<σ_{0}$ なら $|z|>R_{0}$ となり級数は発散します.

($\mathrm{Re}(s)=σ_{0}$ のときは $|z|=R_{0}$ なので時と場合によっていろいろです.)

このように,ディリクレ級数を考えると,ベキ級数の収束円盤の円周 $|z|=R_{0}$ は $\mathrm{Re}(s)=σ_{0}$ という軸のような形になります.

 

一般にディリクレ級数には,ベキ級数の収束半径と似たような収束軸と呼ばれるものがあります.

 

まず,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ が $s=s_{0}=σ_{0}+it_{0}$ で収束するときこの級数が領域 $D_{0}:=\{s\in\mathbb{C}\mid\mathrm{Re}(s)>σ_{0}\}$ でコンパクト一様収束することを示します.

$a_{n}e^{-\lambda_{n}(s_{0}}$ を改めて $a_{n}$ とおけばいいので,$s_{0}=0$ のときを示せば十分です.

$\varepsilon>0$ に対して $\displaystyle D_{\varepsilon}:=\{s\in\mathbb{C}\mid|\arg s|\geq\frac{\pi}{2}-\varepsilon\}$ とおくと,任意のコンパクト集合 $K\subset D_{0}$ に対してある $\varepsilon>0$ で $K\subset D_{\varepsilon}$ となります.($K$ は有界閉だから.)

よって,任意の $\varepsilon>0$ に対して $D_{\varepsilon}$ で $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{C}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ が一様収束することを示せば十分です.

$|\arg s|=\theta$ とおくと $\displaystyle\theta\geq\frac{\pi}{2}-\varepsilon$ よりある $C>0$ で $\displaystyle\frac{1}{\cos\theta}<C$ つまり $\displaystyle\frac{|s|}{σ}<C$ となります.

また,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{C}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ は $s=0$ である $S\in\mathbb{C}$ に収束するので,ある $N_{0}\in\mathbb{N}$ が存在し,$N>N_{0}$ なら $\displaystyle\left|\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}-S\right|<\frac{\varepsilon}{2(C+1)}$ となります.

この $N_{0}$ に対して,$N>M>N_{0}$ なら 

\begin{eqnarray}\displaystyle\left|\sum_{n\leq N}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}-\sum_{n\leq M}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}\right|&=&\left|\sum_{M<n\leq N}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}\right|\\&=&\left|\sum_{M<n\leq N}\left(\sum_{M<k\leq n}a_{k}-\sum_{M<k<n}a_{k}\right)e^{-\lambda_{n}s}\right|\\&=&\left|\sum_{M<n\leq N}\sum_{M<k\leq n}a_{k}e^{-\lambda_{n}s}-\sum_{M<n\leq N}\sum_{M<k<n}a_{k}e^{-\lambda_{n}s}\right|\\&=&\left|\sum_{M<n\leq N-1}\sum_{M<k\leq n}a_{k}\left(e^{-\lambda_{n}s}-e^{-\lambda_{n+1}s}\right)+\sum_{M<k\leq N}a_{k}e^{-\lambda_{N}s}\right|\\&\leq&\sum_{M<n\leq N-1}\left|\sum_{M<k\leq n}a_{k}\right|\left|e^{-\lambda_{n}s}-e^{-\lambda_{n+1}s}\right|+\left|\sum_{M<k\leq N}a_{k}\right|\left|e^{-\lambda_{N}s}\right|\\&=&\sum_{M<n\leq N-1}\left|\sum_{k\leq n}a_{k}-\sum_{k\leq M}a_{k}\right|\left|\int_{\lambda_{n}}^{\lambda_{n+1}}se^{-xs}dx\right|+\left|\sum_{k\leq n}a_{k}-\sum_{k\leq M}a_{k}\right|e^{-\lambda_{N}σ}\\&\leq&\sum_{M<n\leq N-1}\left(\left|\sum_{k\leq n}a_{k}-S\right|+\left|S-\sum_{k\leq M}a_{k}\right|\right)\left|\int_{\lambda_{n}}^{\lambda_{n+1}}se^{-xs}dx\right|+\left(\left|\sum_{k\leq N}a_{k}-S\right|+\left|S-\sum_{k\leq M}a_{k}\right|\right)e^{-\lambda_{N}σ}\\&<&\sum_{M<n\leq N-1}\left(\frac{\varepsilon}{2(C+1)}+\frac{\varepsilon}{2(C+1)}\right)\left|\int_{\lambda_{n}}^{\lambda{n+1}}se^{-xs}dx\right|+\left(\frac{\varepsilon}{2(C+1)}+\frac{\varepsilon}{2(C+1)}\right)e^{-\lambda{N}σ}\\&=&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(\sum_{M<n\leq N-1}\left|\int_{\lambda_{n}}^{\lambda_{n+1}}se^{-xs}dx\right|+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&\leq&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(\sum_{M<n\leq N-1}\int_{\lambda_{n}}^{\lambda_{n+1}}\left|se^{-xs}\right|dx+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&=&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(\sum_{M<n\leq N-1}\int_{\lambda_{n}}^{\lambda_{n+1}}|s|e^{-xσ}dx+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&=&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(\sum_{M<n\leq N-1}\frac{|s|}{σ}\left(e^{-\lambda{n}σ}-e^{-\lambda_{n+1}σ}\right)+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&=&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(\frac{|s|}{σ}\left(e^{-\lambda_{M+1}σ}-e^{-\lambda_{N}σ}\right)+e^{-\lambda{N}σ}\right)\\&<&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(C\left(e^{-\lambda_{M+1}σ}-e^{-\lambda_{N}σ}\right)+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&<&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(Ce^{-\lambda_{M+1}}σ+e^{-\lambda_{N}σ}\right)\\&<&\frac{\varepsilon}{C+1}\left(Ce^{-\lambda_{N_{0}}σ}+e^{-\lambda_{N_{0}}σ}\right)\\&=&\varepsilon e^{-\lambda_{N_{0}}σ}\\&<&\varepsilon\end{eqnarray}

となるので,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ は $D_{\varepsilon}$ で一様収束します.

 

そこで,$\displaystyle A:=\{\mathrm{Re}(s)\mid\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$は収束する$\}$ に対して $A=\emptyset$ なら $σ_{0}:=+\infty$ とし $A\neq\emptyset$ なら $σ_{0}:=\inf A$ とし,この $σ_{0}$ をディリクレ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ の収束軸といいます.

つまり,ディリクレ級数$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}e^{-\lambda_{n}s}$ は $σ>σ_{0}$ なら収束し,$σ<σ_{0}$ なら発散します.

 

 

さて,$\lambda_{n}=\log n$ のディリクレ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-s}$ を通常ディリクレ級数といいます.

 

通常ディリクレ級数 $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-s}$ の収束軸は $\displaystyle σ_{0}=\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}$ で求められます.

まず $\displaystyle σ_{0}\geq\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}$ を示します.

$σ_{0}=0$ としてよく,$σ>0$ なる $σ$ を任意にとります.

$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-σ}$ は収束するので有界で,ある $C>0$ が存在して任意の $N\in\mathbb{N}$ で

\begin{eqnarray}\displaystyle\left|\sum_{n\leq N}a_{n}n^{-σ}\right|<C\end{eqnarray}

となります.よって,任意の $N\in\mathbb{N}$ で

\begin{eqnarray}\displaystyle\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|&=&\left|\sum_{n\leq N}\left(a_{n}n^{-σ}\right)n^{σ}\right|\\&=&\left|\sum_{n\leq N}\left(\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}-\sum_{k\leq n-1}a_{k}k^{-σ}\right)n^{σ}\right|\\&=&\left|\sum_{n\leq N}\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}n^{σ}-\sum_{n\leq N}\sum_{k\leq n-1}a_{k}k^{-σ}n^{σ}\right|\\&=&\left|\sum_{n\leq N}\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}n^{σ}-\sum_{n\leq N-1}\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}(n+1)^{σ}\right|\\&=&\left|\sum_{n\leq N-1}\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}\left(n^{σ}-(n+1)^{σ}\right)+\sum_{k\leq N}a_{k}k^{-σ}N^{σ}\right|\\&\leq&\sum_{n\leq N-1}\left|\sum_{k\leq n}a_{k}k^{-σ}\right|\left((n+1)^{σ}-n^{σ}\right)+\left|\sum_{k\leq N}a_{k}k^{-σ}\right|N^{σ}\\&<&\sum_{n\leq N-1}C\left((n+1)^{σ}-n^{σ}\right)+CN^{σ}\\&=&C(N^{σ}-1^{σ})+CN^{σ}\\&<&2CN^{σ}\end{eqnarray}

より

\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}&<&\frac{\log 2C}{\log N}+σ\end{eqnarray}

となり

\begin{eqnarray}\displaystyle\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}&\leq&\limsup_{N\to\infty}\left(\frac{\log 2C}{\log N}+σ\right)\\&=&σ\end{eqnarray}

となります.よって $\displaystyle\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}\leq σ_{0}$ です.

逆に $\displaystyle σ_{0}\leq\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}$ を示します.

$\displaystyle σ>\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}=\inf_{N\in\mathbb{N}}\sup_{k\geq N}\frac{\log\left|\sum_{n\leq k}a_{n}\right|}{\log k}$ とします.

$\displaystyle\inf_{N\in\mathbb{N}}\sup_{k\geq N}\frac{\log\left|\sum_{n\leq k}a_{n}\right|}{\log k}<\alpha<σ$ なる $\alpha$ を任意にとると,任意の $N\in\mathbb{N}$ で

\begin{eqnarray}\displaystyle\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}&\leq&\alpha\end{eqnarray}

より

\begin{eqnarray}\displaystyle\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|&\leq&N^{\alpha}\end{eqnarray}

です.さて,任意の $N\in\mathbb{N}$ で

\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n\leq N}a_{n}n^{-σ}&=&\sum_{n\leq N-1}\sum_{k\leq n}a_{k}\left(n^{-σ}-(n+1)^{-σ}\right)+\sum_{k\leq N}a_{k}N^{-σ}\\&=&\sum_{n\leq N}\sum_{k\leq n}a_{k}\int_{n}^{n+1}σx^{-σ-1}dx+N^{-σ}\sum_{k\leq N}a_{k}\end{eqnarray}

です.ここで, 

\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n\leq N}\left|\sum_{k\leq n}a_{k}\int_{n}^{n+1}σx^{-σ-1}dx\right|&\leq&\sum_{n\leq N}\left|\sum_{k\leq n}a_{k}\right|\int_{n}^{n+1}\left|σx^{-σ-1}\right|dx\\&=&|σ|\sum_{n\leq N}\left|\sum_{k\leq n}a_{k}\right|\int_{n}^{n+1}x^{-σ-1}dx\\&\leq&|σ|\sum_{n\leq N}n^{\alpha}\int_{n}^{n+1}x^{-σ-1}dx\\&\leq&|σ|\sum_{n\leq N}n^{\alpha}\int_{n}^{n+1}n^{-σ-1}dx\\&=&|σ|\sum_{n\leq N}n^{\alpha-σ-1}\\&<&|σ|\left(1+\int_{1}^{N}x^{\alpha-σ-1}dx\right)\\&=&|σ|\left(1+\frac{1-N^{\alpha-σ}}{σ-\alpha}\right)\\&<&|σ|\left(1+\frac{1}{σ-\alpha}\right)\end{eqnarray} 

より $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}\sum_{k\leq n}a_{k}\int_{n}^{n+1}σx^{-σ-1}dx$ は絶対収束します.また,

\begin{eqnarray}\displaystyle\left|\leq N^{-σ}\sum_{k\leq N}a_{k}\right|&\leq&N^{-σ}\sum_{k\leq N}|a_{k}|\\&\leq&N^{-σ}N^{\alpha}\\&=&N^{\alpha-σ}\end{eqnarray}

で $\alpha-σ<0$ なので

\begin{eqnarray}\displaystyle\lim_{N\to\infty}\left|N^{-σ}\sum_{k\leq N}a_{k}\right|=0\end{eqnarray}

となります.よって $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-σ}$ は収束し,$σ>σ_{0}$ となります.つまり $\displaystyle σ_{0}\leq\limsup_{N\to\infty}\frac{\log\left|\sum_{n\leq N}a_{n}\right|}{\log N}$ です.

 

さて,ベキ級数のときは $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}z^{n}$ と $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}|a_{n}|z^{n}$ の収束半径はどちらも $\displaystyle R_{0}=\liminf_{n\to\infty}|a_{n}|^{-1/n}$ で同じでしたが,通常ディリクレ級数の収束軸は $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-s}$ と $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}|a_{n}|n^{-s}$ とでズレる場合もあります.

たとえば,リーマンのゼータ関数 $\displaystyle\zeta(s)=\sum_{n\in\mathbb{N}}n^{-s}$ の収束軸は $σ_{0}=1$ ですが,その交代級数 $\sum_{n\in\mathbb{N}}(-1)^{n-1}n^{-s}$ の収束軸は $σ_{0}=0$ です.

 

しかし,係数に絶対値をつけても収束軸はせいぜい正の方向に $1$ までしかズレません.

つまり, $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-s}$ の収束軸を $σ_{0}$,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}|a_{n}|n^{-s}$ の収束軸を $σ_{1}$ とすると

\begin{eqnarray}σ_{0}\leq σ_{1}\leq σ_{0}+1\end{eqnarray}

となります.

$σ_{0}\leq σ_{1}$ はいいので,$σ_{1}\leq σ_{0}+1$ を示します.

ここで,$σ_{0}=0$ としてよいので,$σ>1$ なら $σ>σ_{1}$ となることを示します.

$0<\alpha<σ-1$ なる $\alpha$ を任意にとると,$\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-\alpha}$ は収束するので $\{a_{n}n^{-\alpha}\}_{n\in\mathbb{N}}$ は収束し有界で,ある $C>0$ が存在し任意の $n\in\mathbb{N}$ で

\begin{eqnarray}\left|a_{n}n^{-\alpha}\right|<C\end{eqnarray}

となります. このとき

\begin{eqnarray}|a_{n}|n^{-σ}<Cn^{\alpha-σ}\end{eqnarray}

となるので,

\begin{eqnarray}\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}|a_{n}|n^{-σ}&\leq&\sum_{n\in\mathbb{N}}Cn^{\alpha-σ}\\&=&C\zeta(σ-\alpha)\end{eqnarray}

となります.ここで $\zeta(s)$ の収束軸は $σ_{0}=1$ で $σ-\alpha>1$ なので,$\zeta(σ-\alpha)$ は収束します.よって $\displaystyle\sum_{n\in\mathbb{N}}a_{n}n^{-σ}$ は収束し,$σ>σ_{1}$ となります.

 

 

こんな感じで,ディリクレ級数とベキ級数は似たような性質もあるしびみょーに異なった性質もあっておもしろいです. 

 

以上,最近おもしろいと思った話でした.

 

 

参考文献

D.B.ザギヤー (1990)『数論入門-ゼータ関数と2次体-』(片山孝次訳) 岩波書店

 

 

自然数を見つめ直しました

こんにちは,ぱいです.

無事進級できて4回生になりました.ほっとしてます.

 

このあいだ数学の講演をする機会があり,ペアノの公理から出発して自然数の和や積を定義する話をしました.

せっかくなので,ここにもそういう話を書いておこうと思います.

記事の最後の方に,講演会のノートのpdfも貼っておくつもりです.

 

 

さて,自然数といったら何を思い浮かべますか.

たぶん,「0,1,2,3,$\dots$」と続いていくものというふうに思うと思います.

でも,じゃあ,「0,1,2,3,$\dots$」と続いていくというのは数学的に言うとどういうことなのでしょうか.

自然数のこの特徴は,19世紀にイタリアの数学者ペアノによって次のように述べられました.つまり,次のペアノの公理と呼ばれるものをみたすものを自然数と呼ぶことにしました.

 

定義 (ペアノの公理). 集合 $\mathbb{N}$ と $0$ と呼ばれるものと写像 $f:\mathbb{N}\to\mathbb{N}$ が次の4つをみたすとき,$(\mathbb{N},0,f)$ はペアノの公理をみたすといい,$f(n)$ を $n$ の次の元と呼ぶ( $f(n)$ は $n+1$ のような気持ち).

 (i) $0\in\mathbb{N}$ である.

 (ii) $f$ は単射である.

 (iii) $0\notin f(\mathbb{N})$ である.

 (iv) $A\subseteq\mathbb{N}$ は $0\in A,\ f(A)\subseteq A$ なら $A=\mathbb{N}$ となる.

 

これは,自然数というものが $0\mapsto f(0)\mapsto f(f(0))\mapsto f(f(f(0)))\mapsto\dots$ と順番に列のように並んだ感じに得られて,(ii)はまっすぐ並んでる横から変なものが割り込んでこないということを述べています.

(i)と(ii)は,その列の端っこが $0$ と呼ばれるものであるということを言っています.

(iv)は数学的帰納法のことです.

数学的帰納法とは何だったか思い出してみると,「条件 $P$ について,$n=0$ で $P$ が成り立ち,$n=k$ で $P$ が成り立てば $n=k+1$ でも $P$ が成り立つとき,任意の $n\in\mathbb{N}$ で $P$ が成り立つ」というものでした.

これは,$A=\{k\in\mathbb{N}\mid n=k$ で $P$ が成立$\}$とすると「$0\in A,\ k\in A\Rightarrow f(k)\in A$」ということで,(iv)と同じであると分かります.

 ペアノの公理は英語で Peano Axioms というので,以下 P.A. と略します.

また,以下特にことわらない限り $(\mathbb{N},0,f)$ は P.A. をみたすものとします. 

 

さて,ここで便利な定理を紹介しておきましょう.

 

定理1.集合 $X$ と元 $a\in X$,写像 $g: X\to X$ に対して,次のような写像 $\varphi:\mathbb{N}\to X$ がただひとつ存在する.

 (i) $\varphi(0)=a$ である.

 (ii) $\varphi(k)$ まで定義されているとき,$\varphi(f(k))=g(\varphi(k))$ である.

 

証明の前に,この定理の意味を見てみましょう.

$X$ の世界で $g(x)$ を $x$ の次の元のようなものだと思ってこの定理を眺めてみると,(i)は $X$ の世界の端っこのようなものが $a$ であるということを,(ii)は $k$ の次の元は $\varphi(k)$ の次の元のようなものに対応しているということを述べています.

では,証明をしていきましょう.

 

(証明)

まず,条件をみたす写像の存在を示す.

 $A\subseteq\mathbb{N}\times X$ についての次の2つの条件を☆とする.

 (☆1) $(0,a)\in A$ である.

 (☆2) $(k,x)\in A$ なら $(f(k),g(x))\in A$ である.

 ☆をみたす集合すべての共通部分を $B$ とする.

$B$は☆をみたすことがすぐわかるので,$B$は☆をみたす最小の集合である.(この事実を後で使うので△と呼ぶことにする.)

写像 $p:B\to\mathbb{N}$ を $p( (n,x) ):=n$ で定める.

 

この $p$ が全射であるということを示す.

$p( (0,a) )=0$ より $0\in p(B)$ である.また,$k\in p(B)$ のときある $x\in X$ で $(k,x)\in B$ だから $(f(k),g(x))\in B$ で $p( (f(k),g(x)) )=f(k)$ となるので $f(k)\in p(B)$.よって,P.A.(iv)より $p(B)=\mathbb{N}$ となる.

つまり $p$ は全射である.

 

次に,この $p$ が単射であることを示す.

そのためには,「$\forall(k,x),(l,y)\in B,\ p( (k,x) )=p( (l,y) )\Rightarrow(k,x)=(l,y)$」つまり「$\forall(k,x),(l,y)\in B,\ k=l\Rightarrow (k,x)=(l,y)$」を示せばよい.つまり,「\forall k\in\mathbb{N},\ (k,x),\ (k,y)\in B\Rightarrow x=y」を示せばよい.

そこで,$C:=\{k\in\mathbb{N}\mid(k,x),\ (k,y)\in B\Rightarrow x=y \}$ とする.

$0\in C$ を背理法で示す.

$0\notin C$ と仮定すると,ある $x\in X$ で $(0,x)\in B$ だけど $x\neq a$ となる.

$B$ から $(0,x)$ を取り除いた集合を $B'$ とすると,この $B'$ も☆をみたすことがすぐわかる.

ところが $B'\subset B$ なのでこれは△に矛盾する.よって $0\in C$ である.

さらに $k\in C\Rightarrow f(k)\in C$ も背理法で示す.

ある $k\in\mathbb{N}$ で $k\in C$ だけど $f(k)\notin C$ となると仮定する.

$p$ は全射だったから $k$ に対してある $x\in X$ で $(k,x)\in B$ となり,$(f(k),g(x))$ である.

今 $f(k)\notin C$ だから,ある $y\neq g(x)$ で $(f(k), y)\in B$ となる.

$B$ から $(f(k),y)$ を取り除いた集合を $B''$ とする.

$B''$ は $B$ より小さいので,△より,$B''$ は☆をみたさない.

P.A.(iii)より $0\neq f(k)$ なので,$(0,a)\in B''$ で(☆1)はみたされている.よって,$B''$ は(☆2)をみたさない.つまり,ある $(h,z)\in\mathbb{N}\times X$ で $(h,z)\in B''$ だけど $(f(h),g(z))\notin B''$ となる.ところで $(h,z)\in B$ より $(f(h),g(z))\in B$ で,$B$ から取り除いた元は $(f(k),y)$ だけだったから,$(f(h),g(z))=(f(k),y)$ である.P.A.(ii)より $f$ は単射だから $h=k$ となり,今 $k\in C$ だったから $x=z$ となる.よって $g(x)=g(z)$ となるが,$g(z)=y$ と $y\neq g(x)$ は矛盾する.

したがって $k\in C\Rightarrow f(k)\in C$ となる.

よって,P.A.(iv)より $C=\mathbb{N}$ となる.つまり $p$ は単射である.

 

以上から $p$ は全単射で,逆写像 $p^{-1}$ が存在する.

$q: B\to X$ を $q( (n,x) ):=x$ で定めて,$\varphi:\mathbb{N}\to X$ を $\varphi:=p^{-1}\circ q$ とする.

つまり,$\varphi(n)$ とは,$(n,x)\in B$ となる $x$ のことである.

$p( (0,a) )=0$ より $\varphi(0)=a$ である.

また,$\varphi(k)$ まで定義されているとき $(k,\varphi(k))\in B$ より $(f(k),g(\varphi(k)))\in B$ より $\varphi(f(k))=g(\varphi(k))$ である.

つまりこの $\varphi$ は定理の条件をみたしている.

 

今度は,このような写像がひとつしか存在しないことを示す.

$\varphi$ と $\varphi'$ がともに定理の条件をみたしているとする.

$\varphi=\varphi'$ となることを示せばよい.つまり,$\forall n\in\mathbb{N},\ \varphi(n)=\varphi'(n)$ を示せばよい.

そこで,$D:=\{n\in\mathbb{N}\mid\varphi(n)=\varphi'(n) \}$ とする.

$\varphi(0)=a,\ \varphi'(0)=a$ より $0\in D$ である.

$n\in D$ のとき $\varphi(f(n))=g(\varphi(n))=g(\varphi'(n))=\varphi'(f(n))$ より $f(n)\in D$ となる.

よって,P.A.(iv)より $D=\mathbb{N}$ となる.$■$

 

この定理は便利なので後でよく使います.

 

さて,ペアノの公理をみたす $\mathbb{N}$ の元を自然数と呼ぼうということでしたが,そのような集合がいろいろあったら困りますよね.思い浮かべてる自然数が人によって違ったら不便です.

でも,ペアノの公理をみたす集合は本質的にひとつしか存在しないということが次の定理によって分かり,安心できます.

 

定理2.$(\mathbb{N},0,f)$ と $(\mathbb{N}',0',f')$ がともにP.A.をみたすとき,次のような全単射 $\varphi:\mathbb{N}\to\mathbb{N}'$ がただひとつ存在する.

 (i) $\varphi(0)=0'$ である.

 (ii) $\varphi(k)$ まで定義されているとき $\varphi(f(k))=f'(\varphi(k))$ である.

 

(証明)

$\varphi$ の存在と一意性は,定理1で $X=\mathbb{N}',a=0',g=f'$ とすればよい.

また,同じようにして,次のような写像 $\varphi'\mathbb{N}'\to\mathbb{N}$ の存在も分かる.

 (i) $\varphi'(0')=0$ である.

 (ii) $\varphi'(k')$ まで定義されているとき $\varphi'(f'(k'))=f(\varphi'(k'))$ である.

さて,$A:=\{n\in\mathbb{N}\mid\varphi'(\varphi(n))=n \}$ とする.

$\varphi'(\varphi(0))=\varphi'(0')=0$ より $0\in A$ である.

$n\in A$ のとき $\varphi'(\varphi(f(n)))=\varphi'(f'(\varphi(n)))=f(\varphi'(\varphi(n)))=f(n)$ より $f(n)\in A$ となる.

以上よりP.A.(iv)より $A=\mathbb{N}$ となる.同様にして,$\{n\in\mathbb{N}\mid\varphi'(\varphi(n'))=n' \}=\mathbb{N}$ となる.

よって$\varphi'$ は $\varphi$ の逆写像である.

したがって$\varphi$ は全単射である.$■$

 

定義(自然数).ペアノの公理をみたす $\mathbb{N}$ の元を自然数と呼ぶ.

 

さて,無事に自然数が定義できたので,今度は足し算を定義していきましょう.

そのために,まずは次の定理を見てみましょう.

 

定理3.各 $n\in\mathbb{N}$ に対して,次のような写像  $σ_{n}:\mathbb{N}\to\mathbb{N}$ がただひとつ存在する.

 (i) $σ_{n}(0)=n$ である.

 (ii) $σ_{n}(k)$ まで定義されているとき $σ_{n}(f(k))=f(σ_{n}(k))$ である.

 

(証明)

定理1で $X=\mathbb{N},a=n,g=f$とすればよい.$■$

 

これは,$σ_{m}(n)$ で $m+n$ を定義しようという気持ちのものです.

そういう気持ちでこの定理を眺めてみると,(i)は $n$ に $0$ を足しても $n$ のままということを,(ii)は $n$ に $k$ の次の元を足すと $n+k$ の次の元と同じになるということを述べていると分かります.

では,この写像が普通の足し算っぽい基本的な性質をきちんとみたしてくれているか確認してみましょう.

 

定理4.任意の $l,m,n\in\mathbb{N}$ で次が成り立つ.

 (i) (結合法則) $σ_{σ_{l}(m)}(n)=σ_{l}(σ_{m}(n))$

 (ii) (交換法則) $σ_{m}(n)=σ_{n}(m)$

 (iii) (簡約法則) $σ_{l}(n)=σ_{m}(n)\Rightarrow l=m $

 

(証明)

(i)

各 $l,m\in\mathbb{N}$ に対して $A_{l,m}:=\{n\in\mathbb{N}\mid σ_{σ_{l}(m)}(n)=σ_{l}(σ_{m}(n)) \}$ とする.

\begin{eqnarray}σ_{σ_{l}(m)}(0)&=&σ_{l}(m)\\&=&σ_{l}(σ_{m}(0))\end{eqnarray}

より $0\in A_{l,m}$ である.

また,$n\in A_{l,m}$ のとき,

\begin{eqnarray}σ_{σ_{l}(m)}(f(n))&=&f(σ_{σ_{l}(m)}(n))\\&=&f(σ_{l}(σ_{m}(n)))\\&=&σ_{l}(f(σ_{m}(n)))\\&=&σ_{l}(σ_{m}(f(n)))\end{eqnarray}

より $f(n)\in A_{l,m}$ である.

よってP.A.(iv)より $A_{l,m}=\mathbb{N}$ となる.

 

(ii)

$A:=\{n\in\mathbb{N}\mid σ_{n}(0)=σ_{0}(n) \}$ とする.

当然 $0\in A$ である.

また, $n\in A$ のとき

\begin{eqnarray}σ_{f(n)}(0)&=&f(n)\\&=&f(σ_{n}(0))\\&=&f(σ_{0}(n))\\&=&σ_{0}(f(n))\end{eqnarray}

より $f(n)\in A$ となる.

よってP.A.(iv)より $A=\mathbb{N}$ となる.

また,$B:=\{n\in\mathbb{N}\mid σ_{n}(f(0))=σ_{f(0)}(n) \}$ とする.

$f(0)\in A$ より $0\in B$ である.

また, $n\in B$のとき

\begin{eqnarray}σ_{f(n)}(f(0))&=&f(σ_{f(n)}(0))\\&=&f(f(n))\\&=&f(f(σ_{n}(0)))\\&=&f(σ_{n}(f(0)))\\&=&f(σ_{f(0)}(n))\\&=&σ_{f(0)}(f(n))\end{eqnarray}

より $f(n)\in B$ となる.

よってP.A.(iv)より $B=\mathbb{N}$ となる.

さて,各 $n\in\mathbb{N}$ に対して $C_{n}:=\{m\in\mathbb{N}\mid σ_{m}(n)=σ_{n}(m) \}$ とする.

$A=\mathbb{N}$ より $0\in B_{n}$ である.

また,$m\in B_{n}$ のとき

\begin{eqnarray}σ_{f(m)}(n)&=&σ_{σ_{m}(f(0))}(n)\\&=&σ_{m}(σ_{f(0)}(n))\\&=&σ_{m}(σ_{n}(f(0)))\\&=&σ_{σ_{m}(n)}(f(0))\\&=&σ_{σ_{n}(m)}(f(0))\\&=&σ_{n}(σ_{m}(f(0))\\&=&σ_{n}(f(m))\end{eqnarray}

より $f(m)\in C_{n}$ となる.

よってP.A.(iv)より $C_{n}=\mathbb{N}$ となる.

 

(iii)

対偶「$l\neq m\Rightarrow σ_{l}(n)\neq σ_{m}(n)\ (n\in\mathbb{N})$」を示す.

$l\neq m$ なる $l,m\in\mathbb{N}$ を任意にとり,$A_{l,m}:=\{n\in\mathbb{N}\mid σ_{l}(n)\neqσ_{m}(n) \}$ とする.

まず,$σ_{l},\ σ_{m}$ の定義から $0\in A_{l,m}$ である.

また,$n\in A_{l,m}$ のとき $f$ は単射だから $f(σ_{l}(n))\neq f(σ_{m}(n))$ つまり $σ_{l}(f(n))\neq σ_{m}(f(n))$ となり $f(n)\in A_{l,m}$ となる.

よってP.A.(iv)より $A_{l,m}=\mathbb{N}$ となる. $■$

 

定義(自然数の和).$σ_{m}(n)$ を $m $ と $n$ の和と呼び,$m+n$ と略記する.

 

これでようやく胸を張って自然数の足し算を扱えるようになりました.

同じように自然数の掛け算も定義してみましょう.

 

定理5.各 $n\in\mathbb{N}$ に対して,次のような写像 $\pi_{n}:\mathbb{N}\to\mathbb{N}$ がただひとつ存在する.

 (i) $\pi_{n}(0)=0$ である.

 (ii) $\pi_{n}(k)$ まで定義されているとき $\pi_{n}(f(k))=σ_{n}(\pi_{n}(k))$ つまり $\pi_{n}(k+1)=\pi_{n}(k)+n$ である.

 

(証明)

定理1で $X=\mathbb{N},\ a=0,\ g=σ_{n}$ とすればよい. $■$

 

これも,$\pi_{m}(n)$ によって積 $m\cdot n$ を定義したいという気持ちの定理です.

では,最後にこの写像自然数の掛け算っぽく振る舞ってくれることを確認しましょう.

(もう足し算は普通に扱えることになったので,面倒なので+という記号を使います.

また,$f(0)$ のことを $1$ と略記します.)

 

定理6.任意の $l,m,n\in\mathbb{N}$ で次が成り立つ.

 (i) (分配法則) $\pi_{l}(m+n)=\pi_{l}(m)+\pi_{l}(n)$

 (ii) (結合法則) $\pi_{\pi_{l}}(m)(n)=\pi_{l}(\pi_{m}(n))$

 (iii) (交換法則) $\pi_{m}(n)=\pi_{n}(m)$

 

(証明)

(i)

各 $l,m\in\mathbb{N}$ に対して $A_{l,m}:=\{n\in\mathbb{N}\mid \pi_{l}(m+n)=\pi_{l}(m)+\pi_{l}(n) \}$ とする.

$\pi_{l}(m+0)=\pi_{l}(m),\ \pi_{l}(m)+\pi_{l}(0)=\pi_{l}(m)+0=\pi_{l}(m)$ より $0\in A_{l,m}$ である.

また,$n\in A_{l,m}$ のとき

\begin{eqnarray}\pi_{l}(m+(n+1))&=&\pi_{l}*1+l\\&=&\pi_{l}(m)+(\pi_{l}(n)+l)\\&=&\pi_{l}(m)+\pi_{l}(n+1)\end{eqnarray}

より $n+1\in A_{l,m}$ となる.

よってP.A.(iv)より $A_{l,m}=\mathbb{N}$ となる.

 

(ii)

各 $l,m\in\mathbb{N}$ に対して $A_{l,m}:=\{n\in\mathbb{N}\mid \pi_{\pi_{l}(m)}(n)=\pi_{l}(\pi_{m}(n)) \}$ とする.

$\pi_(\pi_{l}(m))(0)=0,\ \pi_{l}(\pi_{m}(0))=\pi_{l}(0)=0$ より $0\in A_{l,m}$ である.

また,$n\in A_{l,m}$ のとき

\begin{eqnarray}\pi_{\pi_{l}(m)}(n+1)&=&\pi_{\pi_{l}(m)}(n)+\pi_{l}(m)\\&=&\pi_{l}(\pi_{m}(n))+\pi_{l}(m)\\&=&\pi_{l}(\pi_{m}(n)+m)\\&=&\pi_{l}(\pi_{m}(n+1))\end{eqnarray} 

より $n+1\in A_{l,m}$ となる.

よってP.A.(iv)より $A_{l,m}=\mathbb{N}$ となる.

 

(iii)

まず $A:=\{n\in\mathbb{N}\mid \pi_{0}(n)=0 \}$ とする.

当然,$0\in A$ である.

また,$n\in A$ のとき

\begin{eqnarray}\pi_{0}(n+1)&=&\pi_{0}(n)+0\\&=&0\end{eqnarray}

より $n+1\in A$ となる.

よってP.A.(iv)より $A=\mathbb{N}$ となる.

また,各 $n\in\mathbb{N}$ に対して $B_{n}:=\{m\in\mathbb{N}\mid \pi_{n+1}(m)=\pi_{n}(m)+m \}$ とする.

当然,$0\in B_{n}$ である.

また,$m\in B_{n}$ のとき,

\begin{eqnarray}\pi_{n+1}(m+1)&=&\pi_{n+1}(m)+(n+1)\\&=&(\pi_{n}(m)+m)+(n+1)\\&=&(\pi_{m}(n)+n)+(m+1)\\&=&\pi_{n}(m+1)+(m+1)\end{eqnarray} 

より $m+1\in B_{n}$ となる.

よってP.A.(iv)より $B_{n}=\mathbb{N}$ となる.

さて,各 $n\in\mathbb{N}$ に対して $C_{n}:=\{m\in\mathbb{N}\mid \pi_{m}(n)=\pi_{n}(m) \}$ とする.

$A=\mathbb{N}$ より $0\in C_{n}$ である.

また,$m\in C_{n}$ のとき,

\begin{eqnarray}\pi_{m+1}(n)&=&\pi_{m}(n)+n\\&=&\pi_{n}(m)+n\\&=&\pi_{n}(m+1)\end{eqnarray} 

より $m+1\in C_{n}$ となる.

よってP.A.(iv)より $C_{n}=\mathbb{N}$ となる. $■$

 

定義(自然数の積).$\pi_{m}(n)$ を  $m $ と $n$ の積と呼び,$m\cdot n$ や $mn$ と記す.

 

これで自然数の掛け算も使えるようになりました.

自然数には他にも大小関係とかいろんな構造が入っているので,暇なときに考えてみると楽しいかもしれません.

 

最後に,講演会で話したやつ(高校生向けに,自然数を $1$ からスタートした)のノートを置いておきます. 

(ドロップボックスのアカウント持ってないと見れないかも)

www.dropbox.com

 

参考文献

彌永昌吉(1972) 『数の体系(上)』 岩波新書

 

 

*1:m+n)+1)\\&=&\pi_{l}(m+n)+l\\&=&(\pi_{l}(m)+\pi_{l}(n

1/(1+x^n) の積分の話

こんにちは. ぱいです.

期末試験とかでバタバタしてますが元気に生きてます.

 

複素関数論の再履のテストを昨日受けてきました.

去年は本当に1ミリも勉強をしていなくて何もわからなかったのですが, 今年はちゃんと勉強しました.

勉強してみると, 一致の定理の結果とかはビックリやし, 代数学の基本定理複素関数論のいろんな考えかたを使って証明できたり, いろいろ面白さを感じれました.(小並感)

実関数の積分が留数定理を使って求められたりするのも面白いと思いました.

たとえば, 期末試験の問題で次の積分を計算せよっていう問題がありました.

$\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\cfrac{1}{1+x^{6}}dx$

これをちょこっと一般化したもの, つまり次のような積分を暇だったので計算してみました.( $n$ が奇数のときがあるので積分区間をびみょーに変えてます.)

$I=\displaystyle\int_{0}^{\infty}\cfrac{1}{1+x^{n}}dx\hspace{1em}(n\geq 2)$

自分のこれまでのブログの記事とか見返してみると代数の話ばっかりだったので, たまにはこういう微積とかの話も書いてみよーかなと思って, 書きます.

 

複素関数 $f(z)=\cfrac{1}{1+z^{n}}$ に対して, 次のような $C_{1},\ C_{2},\ C_{3}$ で反時計回りの積分経路 $C=C_{1}+C_{2}+C_{3}$ を考える.

$R$ を十分大きな数として, $C_{1}$ は原点から実軸に沿って $R$ までまっすぐ進み, $C_{2}$ は $R$ から $Re^{2\pi i/n}$ までの原点を中心とした円弧で, $C_{3}$ は $Re^{2\pi i/n}$ から原点までまっすぐ進む.

 

$\displaystyle J_{k}:=\int_{C_{k}}f(z)dz$ とすると

$\displaystyle \lim_{R\to\infty}J_{1}=I,\\ \displaystyle\lim_{R\to\infty}J_{2}=0,\\ \displaystyle\lim_{R\to\infty} J_{3}=-e^{2\pi i/n}I$

なので,

$\displaystyle \lim_{R\to\infty}\int_{C}f(z)dz=(1-e^{2\pi i/n})I$

となる.

 

また, $C$ で囲まれた領域内の $f$ の極は $1$位の極 $e^{\pi i/n}$ だけなので, 留数定理より

$\displaystyle \int_{C}f(z)dz=2\pi i{\rm Res}(f,\ e^{\pi i/n})$

となる.ここで $\alpha=e^{\pi i/n}$ としてこの留数を計算すると $f(z)=\displaystyle \frac{1}{(z-\alpha)\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\alpha^{k}z^{n-1-k}}$ より 

${\rm Res}(f,\ \alpha)=\lim_{z\to\alpha}\ (z-\alpha)\cfrac{1}{(z-\alpha)\displaystyle\sum_{k=0}^{n-1}\alpha^{k}z^{n-1-k}}=\cfrac{1}{n\alpha^{n-1}}=\cfrac{1}{n(-e^{-\pi i/n})}$

となる.

 

以上から

$\displaystyle (1-e^{2\pi i/n})I=2\pi i\cfrac{1}{n(-e^{-\pi i/n})}$

となるので

$\displaystyle I=\cfrac{2\pi i}{n}・\cfrac{1}{(1-e^{2\pi i/n})(-e^{-\pi i/n})}=\cfrac{2\pi i}{n}・\cfrac{1}{e^{\pi i/n}-e^{-\pi i/n}}=\cfrac{\cfrac{\pi}{n}}{\sin\cfrac{\pi}{n}}$

となる. 多分. (合ってるのか分からないので違ったら言ってください.)

 

 

留数定理を使うと他にも実関数のいろんな積分が計算できたりして, 楽しかったです.

春休みに時間があったらもうちょっと色々勉強してみるのもいいかも と思いました.

 

 

おしまい.